【言語発達】指示語『あれこれ』ばかりで伝わらない! の理由

2018/06/22 | 知れば納得!症状と理由 シリーズ

こんばんは🍀
言語聴覚士(ST)の田中美穂です。

 

昨今、よつばでは
就学前(年長)のお子さんも増えてきて、
年齢幅がぐんと拡がりました。
色んな個性をもつ子が集まって楽しい限り☆

 

そこで今日は、
年長さんや言語発達がゆっくりなお子さんに
”あるある!” の1つ

指示語『あれこれ』ばかりで伝わらない!

について考えてみたいと思います♪

 
 

 
 

先日も、こんなことがありました。

 

🍀 年長さんとST田中の会話 🍀

子「先生、今日マクド!!」

ST「ん?お昼はマクドで食べたの?」
 (※関西では、マクドナルド=マクド)

子「そう!マクドで食べた!
  ほんでね、ビルドやってん」

ST「ハッピーセットのおまけだね」

子「そう!!こんな、こんなやった!
  こっちの足が、こうなってて、ビンッ!
  で、ぐにっとして、こうなって、こう!」

 
 

身振り手振りを駆使して、
一生懸命説明してくれているのですが…

うーん、文字に起こすとサッパリですね(笑)

 

調べたところ、どうやら
このようなポーズだったようです。

あ~~~、なるほど!!
 

マクドナルド公式HPより)
 
 
 

彼のお話の仕方にはある特徴があります。
おわかりでしょうか??

 
それは
名詞に比べ、動詞・形容詞が圧倒的に少ない
「これが、こうして…」と指示語で表現する

という点です!!
 

これは、彼に限ったことではなく、
言語発達の真っ最中のお子さんや、
少し言葉がゆっくりめの子達が陥りやすい
あるある!なんです。

 

ではなぜ、こうなるのかと言うと、
「言語発達の順番」が関係しています。

 
 

 
 

赤ちゃんや幼い子どもが、ことばを覚える時
わかりやすく一番覚えやすいことばは
「名詞」だと言われています。

お母さんが赤ちゃんにお声かけする時を
思い出してみてください。

 

 「はーい、まんま(ご飯)の時間だよ~」
 「まんま、食べようね~」
 「まんま、美味しいかな~?」

 

全部の声かけに「まんま」が入っています。
それを毎日聞く赤ちゃんは、

 自分が食べている “コレ” が出てきた時に
 いつもお母さんが「まんま」と言ってる…
 そっか!
 この美味しいもの=「まんま」なのか!

と気付くのです。

 

このようにして、
毎日よく聞く” あのことば ” が、
実は、物の名前なんだ!と気付けると、
名詞をどんどん覚え、使い始めます。

赤ちゃん達は生後9~10ヶ月頃から、
この難しい作業に取り掛かるのですから
なんとも驚きです!

 
 

 
 

ではここで、先ほどのお母さんのお声かけを
もう一度振り返ってみましょう。

今度は、名詞以外の部分に注目して下さい。

 

 「はーい、まんま(ご飯)の時間だよ~」
 「まんま、食べようね~」
 「まんま、美味しいかな~?」

 

状況としては ”ご飯を食べる” わけですが、
「食べる」「おいしい」や「~の時間」など
いろんな表現が登場していますね(‘◇’)ゞ

動作や状況は同じなのに、
聞こえてくることばが毎回微妙に違う…

これが、言葉を習得していく上での
最初の難関ポイントなのです。

 

日本語の性質上、
動作や状況ひとつを表すのにも
様々な言い回しが存在します。

それが日本語の豊かさ・素晴らしさなのですが
子ども達にとってはちょっと難しい…

 

名詞(モノの名前)以外にも、
動きの名前、色、模様、やわらかさといった
モノの様子を表すことばがあるんだ!と
まずは「気づく」こと。

そしてそのことばが使われている状況を
何度も聞いて、実体験して初めて、
動詞や形容詞の理解が進むわけですね!!

 

 

この言語発達の過程を、
より丁寧に、よりじっくりと支援する必要が
あるのが、発達障がいを持つ子ども達です。

 

彼らは「なんとなく実体験」するだけでは
動作/状況と、ことば(動詞・形容詞)が
リンクしにくいのです。

その結果、
名詞はどんどん覚えられても
動詞・形容詞が習得しにくく、
「こうして」「こうなって」等の指示語や
「ぐにって」「ピンってして」等の擬音語で
代用することになってしまうのですね。

 

次回は、
より具体的な「動詞のハナシ」について
お伝えしたいと思います♪

お楽しみに(^^)/


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