こんばんは🍀
言語聴覚士(ST)の田中美穂です。
昨今、よつばでは
就学前(年長)のお子さんも増えてきて、
年齢幅がぐんと拡がりました。
色んな個性をもつ子が集まって楽しい限り☆
そこで今日は、
年長さんや言語発達がゆっくりなお子さんに
”あるある!” の1つ
指示語『あれこれ』ばかりで伝わらない!
について考えてみたいと思います♪
先日も、こんなことがありました。
🍀 年長さんとST田中の会話 🍀
子「先生、今日マクド!!」
ST「ん?お昼はマクドで食べたの?」
(※関西では、マクドナルド=マクド)
子「そう!マクドで食べた!
ほんでね、ビルドやってん」
ST「ハッピーセットのおまけだね」
子「そう!!こんな、こんなやった!
こっちの足が、こうなってて、ビンッ!
で、ぐにっとして、こうなって、こう!」
身振り手振りを駆使して、
一生懸命説明してくれているのですが…
うーん、文字に起こすとサッパリですね(笑)
調べたところ、どうやら
このようなポーズだったようです。
あ~~~、なるほど!!
(マクドナルド公式HPより)
彼のお話の仕方にはある特徴があります。
おわかりでしょうか??
それは
名詞に比べ、動詞・形容詞が圧倒的に少ない
「これが、こうして…」と指示語で表現する
という点です!!
これは、彼に限ったことではなく、
言語発達の真っ最中のお子さんや、
少し言葉がゆっくりめの子達が陥りやすい
あるある!なんです。
ではなぜ、こうなるのかと言うと、
「言語発達の順番」が関係しています。
赤ちゃんや幼い子どもが、ことばを覚える時
わかりやすく一番覚えやすいことばは
「名詞」だと言われています。
お母さんが赤ちゃんにお声かけする時を
思い出してみてください。
「はーい、まんま(ご飯)の時間だよ~」
「まんま、食べようね~」
「まんま、美味しいかな~?」
全部の声かけに「まんま」が入っています。
それを毎日聞く赤ちゃんは、
自分が食べている “コレ” が出てきた時に
いつもお母さんが「まんま」と言ってる…
そっか!
この美味しいもの=「まんま」なのか!
と気付くのです。
このようにして、
毎日よく聞く” あのことば ” が、
実は、物の名前なんだ!と気付けると、
名詞をどんどん覚え、使い始めます。
赤ちゃん達は生後9~10ヶ月頃から、
この難しい作業に取り掛かるのですから
なんとも驚きです!
ではここで、先ほどのお母さんのお声かけを
もう一度振り返ってみましょう。
今度は、名詞以外の部分に注目して下さい。
「はーい、まんま(ご飯)の時間だよ~」
「まんま、食べようね~」
「まんま、美味しいかな~?」
状況としては ”ご飯を食べる” わけですが、
「食べる」「おいしい」や「~の時間」など
いろんな表現が登場していますね(‘◇’)ゞ
動作や状況は同じなのに、
聞こえてくることばが毎回微妙に違う…
これが、言葉を習得していく上での
最初の難関ポイントなのです。
日本語の性質上、
動作や状況ひとつを表すのにも
様々な言い回しが存在します。
それが日本語の豊かさ・素晴らしさなのですが
子ども達にとってはちょっと難しい…
名詞(モノの名前)以外にも、
動きの名前、色、模様、やわらかさといった
モノの様子を表すことばがあるんだ!と
まずは「気づく」こと。
そしてそのことばが使われている状況を
何度も聞いて、実体験して初めて、
動詞や形容詞の理解が進むわけですね!!
この言語発達の過程を、
より丁寧に、よりじっくりと支援する必要が
あるのが、発達障がいを持つ子ども達です。
彼らは「なんとなく実体験」するだけでは
動作/状況と、ことば(動詞・形容詞)が
リンクしにくいのです。
その結果、
名詞はどんどん覚えられても
動詞・形容詞が習得しにくく、
「こうして」「こうなって」等の指示語や
「ぐにって」「ピンってして」等の擬音語で
代用することになってしまうのですね。
次回は、
より具体的な「動詞のハナシ」について
お伝えしたいと思います♪
お楽しみに(^^)/
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