自閉スペクトラム症の症状「アナウンサーのような標準語」の理由

2017/07/07 | 知れば納得!症状と理由 シリーズ

こんにちは🍀
言語聴覚士(ST)の田中美穂です。

本日のテーマは
自閉スペクトラム症と標準語!!

発達障害、特に自閉スペクトラム症をもつ
子ども達の多くに、
” 地域の方言でなく標準語で話す ”と
いう特徴があります。

 

関東圏から引越してきたから…とか
ご家族が標準語を使うから…とか
そういうケースもあるかと思います。

しかし、不思議なことに
その子以外の家族みんなは方言を話すのに
アナウンサーのような標準語で話す子も
いるんですよ。
 

 
 
 

奈良県は、ざっくり分ければ関西弁地域。
関西弁って、他地域の人からすれば
とっても難解な言語のようですね^^;

イントネーションの上下が大きく
歌のように聞こえるという人もいます。

さらには、話すスピードもテンポも速いし、
ボケやツッコミ、オチまで求められ…(笑)
会話スキルとしては、最高難度かも?!

 
 

会話やコミュニケーションの難しさが
主症状になる自閉スペクトラム症の子達に
とって、関西弁で話すことは
ハードルがとっっっても高いんです。

たとえば「あかん」。
この一言だけでも
イントネーションの上下と場面によって
色んな意味と表情を含んでくるんです。

 

ここで突然!「あかん」クイズ~★(笑)

次の5つの「あかん」のイントネーションと
伝えたい内容の違いを考えてみましょう。

関西の方は感覚でわかると思いますが、
他府県の方にはかなり難しいかも…

 

1)怒りながら真顔で「あかん!!」

2)急ぎながら焦り顔で「あかんあかん」

3)へとへとに疲れた顔で「あかん…」

4)笑いながら幸せそうに「あかんわ~」

5)ふざけて笑いながら「あかんって~」

 
 

どうですか?

「あかん」一言に色々詰め込まれすぎていて
関西弁ほんま難しい!って思いませんか?
 
私(関西人)が考えた答えはこんな感じ。
  ↓↓↓
1)やめなさい!それ以上したらダメ!
2)間に合わない、大変、どうしよう?!
3)疲れた、もう無理、何もしたくない
4)とっても良い、素敵、もっとしたい
5)楽しい、もうちょっとなら続けてもいい
 
特に、④と⑤については
言葉本来の意味「あかん=ダメ、NG」と
違う意味を含んで使っているので、
混乱の極みなんですよね…

 

自閉スペクトラムの子ども達は、
このようなイントネーションと使い分けの
微妙な違いを判別するのが苦手なため、
聞き取るのも話すのも、うまくいきません。

方言自体が高い高いハードルで、
いろんな場面判断を迫られ困惑しています。

 

 

そんなみんなの救世主!!それが
「テレビのアナウンサー」さんです。

洗練された標準語で、明瞭・丁寧に
聞き取りやすい適度な速さで話してくれます。
常に同じイントネーションを使って話すため
何を言っているのかわかりやすいようです。

しかも!

毎日同じ時間に同じテレビを見れば、
お決まりのセリフや掛け声も言ってくれるので
「今日もコレコレ、コレならわかる」と
ほっと安心できるらしいのです。

そのため、お友達やご家族が使う方言より
標準語の方がインプットされやすいのですね。

幼児期からアナウンサーのような標準語で
敬語で話しているお子さんに多く出会いますが
どうやら、そういう理由のようです。

知れば納得!ですねぇ…


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