こんばんは🍀
言語聴覚士(ST)の田中美穂です。
先日、自閉スペクトラム症をもつ男の子が
来塾した時、こんなやりとりがありました。
男子『先生、なんか変やで、今日』(真顔)
ST「ん?変って、服のこと?」
男子『ちがう。顔が変。おかしい』
確かに寝不足気味だけども…(笑)
髪型や服はいつも通りだし…
なんだろう、何が変なんだろう…
こりゃちょっと掘り下げて話してみるか~♪
と考え、私自身はニコニコしていたのですが、
お母さんは恐縮して叱り声。
「なに失礼なこと言ってるの!」
「先生ごめんなさい、ほんとにもう…」
「思ったまま言っちゃダメでしょ!」
いやいや、お母さん。
これにはきっと理由があります。
叱る前に一旦考えてみましょうか^^
知れば納得!かもしれません。
🍀🍀🍀🍀🍀
彼は、独特の着眼点や観察眼を持ち
いつも私が気づきもしないところに
気付いてくれます。
自閉スペクトラム症をもつ彼の
誇るべき素晴らしい力です。
今回も、きっとそうに違いない!
詳しく聞くと、つたないながらも一生懸命、
「何が変か」を説明してくれました。
彼の言う「変」は「いつもと違う」の意味。
そこに「異様」「不細工」等の負の意味は
含まれていないようでした。
ST「先生の何が、いつもと違ったの?」
男子『真ん中らへんが変なの。』
※ 主語が抜け、話が唐突に始まったり
興味あることだけ一方的に話すのも
自閉スペクトラム症の特徴です
ST「顔の真ん中、ってこと?鼻?」
男子『ちがう、目の真ん中。』
ST「目玉が違うの?何か映ってた?」
男子『ちがう。目。茶色くない。』
茶色というワードが出てやっと
「あーー!納得!!」となりました(笑)
その日はいつものアイラインが切れてしまい
仕方なく予備のモノを使ったのでした。
普段はダークブラウン⇒その日はブラック。
小さな小さな変化だと思っていましたが、
彼にとっては「いつもと違う顔」と
感じたようですね。
これは大事件!!
驚かせてごめんよ^^;
先生に報告しなくちゃ!と思ったんだね。
これが『先生、なんか変』の理由だね。
お母さんに報告すると、目を丸くしながら
「そんなのわかるんですね、すごすぎる…」
と仰いました。
私からお母さんに、こうご説明しました。
🍀🍀🍀🍀🍀
細部に気付ける素晴らしい力をお持ちです。
違いの分かる男★ですね!
でも、今回お母さんが焦ってしまったのは、
女性の顔を見て『変』と言ったからですよね。
言葉足らずだったり唐突だったりで、
「失礼」「空気が読めない」と誤解され
叱られたりもしますが、悪気はありません。
ただ、伝えたかっただけなんです。
今の課題は、思いを「変」の一言でしか
表現できなかったことです。
「先生のメイク、今日はちょっと違うね」と
言えば、そこまで誤解を生まなかったかも。
使う言葉のバリエーションとタイミング。
私相手なら何回失敗してもいいので、
しっかり練習してゆきましょうね^^
🍀🍀🍀🍀🍀
私個人としては、彼らのこんな珍事件。
本当に愛おしくて大好きです。
苦労してる分、うまく伝えられたらいいね。
一緒にいっぱい練習しようね!!
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